コンポンチャム生活119日目~活動計画編・5S前編~(派遣169日目)
というわけで、昨日に引き続き、活動計画編二つ目は「5S-KAIZEN」編。
【5S-KAIZENとは…そして、なぜ5Sをテーマにしたのか】
5Sはあの有名なTOYOTAさんが生産効率を上げていくために考え出した方法の一つです。整理・整頓・清掃・清潔・躾がそれぞれ「S」から始まる単語であることから「5S」と呼ばれるようになりました。
日本語でも「S」から始まりますが、無理くり英訳した結果も Sort・Set in order・Shine・Standarize・Sustain と英語にしても5Sです。
さらに、それを無理くりクメール語に直した結果も、全部「ស」から始まる単語になっており、カンボジアでは「ស៥(ソープラム)」と呼ばれています。
元々は工場などで使われていたのですが、この5Sは医療業界でも使える!ということで世界各国での導入が始まりました。
ただ、日本が発祥地といいながら、実は5Sを知っている日本人って意外と少ないのではないでしょうか??
以前、同僚に「日本人はなんで5Sができるの?」と聞かれたことがあります。
私は返答にちょっと困ってしまいました💦
だって、日本にいたとき私は「5S」というものを詳しく知らなかったし、
「5S」をしようと思って、「5S」をしたことがなかったからです。
部屋の中の汚さが度を超したり、年末に大掃除しよーという意識はありましたが、
それは「5Sができていないから、5Sをしなきゃ!」みたいな意識では全くありませんでした。
そして、辿り着いた答えが「日本人にとって5Sは”文化”だから」
日本にあるコンビニや商店、百貨店、工場、病院…などなど、
どこをみても散らかっているお店や病院はありません。
おそらく日本人は「無駄を嫌う」傾向があり、効率化をすることが大好きです。
そして、自然と5Sが仕事を効率化するうえで非常に有効であることを無意識のうちに理解しています。
掃除に関しても、小学校の時から給食後に掃除の時間があるなど、幼いころから意図せず5Sをするための教育を受けてきています。
今、改めて日本で受けてきた教育・文化を考えると、
日本人がすごくまめで、綺麗好きな理由が少しわかった気がします。
一方カンボジア。
発展途上国の医療のあるある「カルテどこどこ問題」は皆さんご存知でしょうか?
医療を受けに来た患者さんを一番に待つのは「カルテ探し」。
カルテが見つかったと思ったら、次は診察室で物品がどこどこ?ないない!問題。
さらに診察が終わって薬をもらおうとすると、次は薬どこどこ?ないない!問題。
さすがに看護師隊員3代目となる私のときにはそこまでの現状はほぼお見かけしなくなっていますが、
今でもなお、引き出しの中がぐちゃぐちゃ。
なぜ、こんなところから薬が?!
なぜ、こんなところに〇年前のカルテが?!
上記のような問題は、現在進行形で発生しています。
でも、まだ上記のような問題は効率が悪くなるだけですが、
たくさんの似たアンプル(点滴用の薬)がある状況で5Sがきちんとできていなかったら??
もし、抗生剤と劇薬を間違えて投与してしまったら…??
もし、期限切れの薬を投与してしまったら…??
もし、一刻を争う緊急時に必要な薬品が行方不明だったら…??
医療現場において、5Sとは単なる効率化だけではなく、
患者さんの「命」「安全」を守るためにとても大切なことだと私は考えています。
5Sを導入することはとってもいいことだと私は思いますが、
本来であれば、5Sはあくまでも質の高い医療を提供するためのあくまで”基盤”づくり。
でも、元々5S文化がなかった現場では、5Sを”継続”させることがとても困難。
色々考えたけど、理由はきっと、「5S」をすること、そのもの自体に目的を持たせてしまっているから。。
今現時点で、5Sの目的をはき違えているスタッフがたくさんいます。
私「5Sはなんのためにしているの?」
大多数のスタッフ「病院をきれいにするためでしょ?」
…合ってるけど、合ってるけど、合ってるけど、惜しいーーーーー!!!!
私「じゃあなんで病院をきれいにするの?」
大多数のスタッフ「…え?綺麗なほうが良いに決まってるじゃん」
もちろん自分たちも快適に過ごせるって大事だよ!!
でも、すべては患者さんが快適に過ごせるようにだよ!!質のいい医療を提供するためだよ!!
色々語ってしまいましたが、
5Sの目的、5Sの目指すべきゴールをきちんと理解してもらう。
それが私のミッションのような気がします。
2年後、同じ質問を現地スタッフにしてみようと思います。
後編へ続く。